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活動休止を迎えた今だからこそ聴きたい、ミツメの3曲──静かな日常を音楽へ変えたバンド

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2024年9月30日。

15年間にわたり日本のインディーシーンを歩み続けてきたミツメは、バンドとしての活動を休止した。

2009年に東京で結成されたミツメは、川辺素(Vo/Gt)、大竹雅生(Gt/Syn)、nakayaan(Ba)、須田洋次郎(Dr)の4人によって結成されたバンドだ。

フォーク、シティポップ、ドリームポップ、サイケデリック、インディーロック──そのどれにも影響を受けながら、最終的にはどのジャンルにも回収されない「ミツメ」という音楽を築き上げた。

国内ではFUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWERなど数々の大型フェスに出演し、中国ツアーやモンゴルのPLAYTIME FESTIVALなど海外でも活動を展開。派手なメディア露出よりもライブと作品を積み重ねることで、多くのミュージシャンやリスナーから深い支持を集めてきた。

彼らの音楽には、大きなドラマはない。

日常を切り取り、感情を静かに歌い、余白を残す。

だからこそ、聴く人それぞれの人生に自然と重なっていく。

活動休止を迎えた今、改めて聴き返したい3曲を通して、その魅力を振り返ってみたい。

「煙突」──ミツメという景色が始まった場所

初期の代表曲「煙突」は、ミツメというバンドの美学を最も端的に表した作品と言える。

ゆったりとしたテンポ。

必要以上に音を重ねないアレンジ。

川辺素の感情を抑えたボーカル。

派手なサビも劇的な展開もない。

それでも最後まで耳を離せないのは、楽曲全体に流れる「風景」があるからだ。

煙突というモチーフは、都市の片隅に当たり前のように存在するものだ。

その何気ない存在に目を向ける感覚こそ、ミツメらしい。

彼らは特別な出来事ではなく、日々の中で見過ごしてしまう景色に美しさを見つけ続けてきた。

MVもまた、その世界観を象徴している。

過度な演出はなく、静かに流れる時間と空気を映し出す映像は、楽曲の余白をさらに広げている。

「煙突」は、ミツメというバンドが何を大切にしていたのかを教えてくれる一曲だ。

「エスパー」──ポップミュージックへと開かれた瞬間

「エスパー」は、それまでのミツメとは少し違う表情を見せた楽曲だった。

軽やかなビートと耳に残るメロディ。

シンプルながら印象的なギターフレーズ。

これまで以上にポップスとしての輪郭を持ちながらも、ミツメらしい浮遊感は失われていない。

彼らは決して流行へ近づいたわけではない。

自分たちの言葉でポップミュージックを鳴らせるようになったのである。

MVも印象深い。

日常の延長線上にある風景を切り取りながら、不思議な距離感を保ち続ける映像は、「エスパー」というタイトルが持つ少し非現実的な響きとも重なって見える。

何気ない日常の中で、ほんの少しだけ世界が違って見える瞬間。

その感覚を音楽と映像の両方で描き出している。

ミツメは派手な演出をしない。

しかし、だからこそ小さな違和感や心の揺らぎが際立つ。

「エスパー」は、その繊細な表現力が結実した楽曲だった。

「うつろ」──余白の先にある感情

後期のミツメを語るうえで、「うつろ」は欠かせない。

この曲には、初期作品にあった瑞々しさとは異なる落ち着きがある。

音数は少ない。

演奏も穏やかだ。

しかし、その静けさの中には、これまで積み重ねてきた時間が確かに息づいている。

ミツメの音楽は、感情を説明しない。

嬉しいとも悲しいとも言わない。

ただ、その場の空気だけを残していく。

だからこそ、聴く人それぞれが自分自身の感情を重ねられる。

「うつろ」は、その象徴のような作品だ。

MVもまた、音楽を説明するためではなく、その空気を映像として定着させることに徹している。

光や風景、人の動き。

それらが静かに流れていくだけなのに、不思議と何度も見返したくなる。

それはミツメの音楽そのものが持つ力なのだろう。

ミツメが教えてくれた「静かな豊かさ」

ミツメの音楽は、人生を変えるような強いメッセージを叫ぶことはなかった。

社会を批判するわけでもない。

誰かを励ますわけでもない。

それでも、彼らの音楽は多くの人の生活に寄り添ってきた。

忙しい日々の中で立ち止まる時間。

何も考えずに窓の外を眺める時間。

散歩をしながら季節の変化を感じる時間。

ミツメは、そうした「何でもない時間」の価値を、15年間鳴らし続けてきたバンドだった。

「煙突」が描いた静かな風景。

「エスパー」が見せたポップな広がり。

「うつろ」が辿り着いた深い余白。

この3曲には、それぞれ異なる時代のミツメが刻まれている。

活動休止という一つの区切りを迎えた今だからこそ、改めて耳を傾けることで、彼らの音楽がどれほど豊かな時間を私たちに与えてくれていたのか、きっと新たな発見があるはずだ。

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