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CHAI『CHAI』レビュー|“NEOかわいい”の最終形として鳴り続ける自己肯定のポップ

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2023年9月にリリースされたCHAIのセルフタイトル・アルバム『CHAI』は、結果的にバンドにとって最後のフルアルバムとなった。

2024年3月のラストライブをもって解散を発表した彼女たちにとって、本作はキャリアの集大成であると同時に、「CHAIという存在そのもの」をもう一度定義し直すような作品でもある。

派手な終幕というよりも、静かに輪郭を残したままフェードアウトしていくような佇まい。その余韻が、今あらためて聴くことでより強く立ち上がってくる。

“CHAIとは何か”をもう一度問い直すアルバム

セルフタイトル作品『CHAI』は、その名の通り「自分たちの名前をそのまま作品にする」という強い意志を持ったアルバムだ。

これまで彼女たちが掲げてきた“NEOかわいい”というコンセプトは、この時点でさらに抽象度を増している。

それは単なるポップなスローガンではなく、「自分をどう肯定するか」というテーマそのものへと変化しているように感じられる。

音楽的にもジャンルを横断しながら、軽やかで、遊び心に満ちていて、それでいてどこか実験的でもある。そのバランス感覚は最後まで揺らぐことがない。

ポップであることの再定義

CHAIの音楽は一貫して「ポップとは何か」という問いを裏側から揺さぶり続けてきた。

整った美しさや完成された形式ではなく、むしろ不完全さや違和感をそのまま肯定することで成立するポップ。

『CHAI』でもその姿勢は変わらない。

キャッチーでありながら、どこかズレている。その“ズレ”こそが彼女たちの個性であり、同時にリスナーに自由を与える余白にもなっている。

聴きやすさと実験性が同居するそのサウンドは、最後の作品でありながらも、依然として更新途中のような軽やかさを持っている。

“かわいい”を社会的な言葉から解放する試み

CHAIが一貫して取り組んできたのは、「かわいい」という言葉の再定義だった。

それは誰かに評価されるための記号ではなく、自分自身を肯定するための言葉へと変換されていく。

『CHAI』ではその姿勢がより自然体になり、無理にメッセージを押し出すのではなく、音楽そのものの空気感として存在している。

日常の中でふと生まれる感情や、説明できない気持ちすらもポップミュージックとして成立させてしまう力が、このアルバムにはある。

解散後に立ち上がる“静かな完成”

2024年3月のラストライブをもって解散したCHAIだが、『CHAI』を聴き返すと、その終わりは決して突然の断絶ではなかったようにも思えてくる。

むしろこのアルバムには、「続いていくこと」を前提としない自由さがある。

終わりを強く演出するのではなく、自然に次のフェーズへと移行していくような感覚。

それは“未完成の完成”とも言える、不思議な余韻を残している。

まとめ

CHAIのセルフタイトル・アルバム『CHAI』は、単なるラストアルバムではない。

それは、10年にわたってポップの常識を揺さぶり続けたバンドが、「自分たちであること」を最後まで肯定し続けた記録でもある。

解散という事実を知った今だからこそ、この作品の静かな強さがより深く響いてくる。

CHAIは終わったのではなく、“CHAIという在り方”をそのまま音楽として残していったのかもしれない。

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