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フードの奥で鳴り続ける青春──Cultboiという新世代エモーショナルロックの可能性

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閃光ライオットで見つけた、まだ誰も知らない衝動

インディーシーンには時折、「今のうちに知っておきたい」と思わせるバンドが現れる。

大阪を拠点に活動する4人組アート集団、Cultboiもそのひとつだ。

2023年3月に結成された彼らは、大阪のライブハウスを中心に活動を続けながら、自主制作によるMVやジャケット、Zine制作まで手掛けるDIY精神を持ったバンドである。平均年齢20歳前後という若さながら、その表現は驚くほど完成度が高い。

彼らが広く注目を集めたきっかけのひとつが、閃光ライオットへの出演だった。

ライブ映像を見てまず目を奪われるのはボーカルの存在感だ。

深くフードを被り、顔を隠したまま歌う姿。

近年のインディーロックでは珍しくない演出にも見えるが、Cultboiの場合は少し意味合いが違う。

ミステリアスさを演出するためというより、「個人」ではなく「感情」そのものを前面に押し出しているように見える。

誰なのか分からない。

だからこそ誰でも投影できる。

その匿名性がCultboiというバンドの魅力になっている。

閃光ライオットのライブレビュー

ライブ映像を見て最初に感じるのは、とにかく演奏が切実だということだ。

音を鳴らすこと自体が叫びになっている。

近年の若手ロックバンドには演奏力やアレンジ力を武器にするバンドも多いが、Cultboiが持っているのはもっと原始的な熱量だ。

その熱量は、

  • early emo
  • UKインディーロック
  • 日本語青春ロック

が混ざり合ったような質感を持っている。

特にボーカルの歌唱からは、NUMBER GIRLではなく、

銀杏BOYZや初期BUMP OF CHICKENに近い「言葉をぶつける」感覚を感じる。

しかしサウンド全体はもっと現代的だ。

轟音ギターの壁を作りながらも、メロディは驚くほどポップ。

だから激情だけで終わらない。

閃光ライオットのステージでも、そのバランス感覚が際立っていた。

暴れ回るのではなく、感情を丁寧に積み上げていく。

そしてサビで一気に爆発する。

その構造は90年代エモや00年代オルタナティブロックの影響を感じさせる。

ライブを見ながら思い浮かんだのは、

American FootballやTitle Fightのようなエモバンドと、andymoriや時速36kmの日本語ロックを掛け合わせたような姿だった。

ただ、それらの模倣には見えない。

Cultboiには明確に「2020年代の若者の閉塞感」が宿っている。

「疾走」──名前の通り走り続ける青春

2024年に発表された「疾走」は、Cultboiというバンドを知る上で最初に聴いてほしい楽曲だ。

タイトル通り、この曲は止まらない。

イントロから最後まで前へ前へ進み続ける。

だが面白いのは、その疾走感が希望ではなく焦燥感から生まれている点だ。

どこかへ行きたい。

しかし行き先は分からない。

だから走る。

そんな若さ特有の衝動が曲全体を支配している。

音楽的にはエモ、パンク、ギターロックの要素が色濃い。

初期のAge Factoryや時速36kmが好きなリスナーには確実に刺さるだろう。

「ファンファーレと熱狂」──青春への愛と嫌悪

Cultboiの代表曲になりそうなのが「ファンファーレと熱狂」だ。

この曲の面白さは青春を肯定しきらないところにある。

歌詞には

「恋に恋する16歳」

「クソみたいな歌」

といったフレーズが登場する。

青春を信じたい。

でもどこか冷めている。

そんなアンビバレントな感情が詰め込まれている。

だから単なる青春ソングにならない。

むしろ青春を過ぎつつある人間ほど刺さる。

音楽的には彼らのポップセンスが最も発揮された曲であり、サビの強度は圧倒的だ。

ライブで大合唱が起こる未来が容易に想像できる。

「呼吸の輪郭」──Cultboiの成熟

最新曲「呼吸の輪郭」は、これまでの作品とは少し違う。

疾走感や熱狂よりも余白が増えている。

バンドサウンドは以前より整理され、感情をぶつけるというより呼吸を聴かせる作品になった。

タイトルも象徴的だ。

呼吸には形がない。

しかし確かに存在する。

この曲は、見えない感情の輪郭を探ろうとしているように聴こえる。

若さの爆発力だけでなく、静かな美しさも獲得し始めた。

この変化は非常に重要だ。

激情だけでは長く続けられない。

Cultboiは今、自分たちの音楽をもっと深い場所へ運ぼうとしている。

Cultboiは次世代の主役になれるのか

Cultboiの魅力は「若いのに上手い」ことではない。

むしろ未完成であることだ。

だからこそ面白い。

フードで顔を隠したボーカル。

DIY精神に満ちたアートワーク。

青春への憧れと嫌悪が混在した歌詞。

そして爆発しそうな感情を抱えたライブ。

それらが混ざり合って、Cultboiというバンドを形成している。

閃光ライオットの映像を見ていると、彼らはまだ完成していない。

しかし完成していないからこそ、未来が見たくなる。

今のインディーシーンには優れたバンドが数多く存在する。

その中でもCultboiは、「これから何者になるのか」を見届けたくなる数少ない存在だ。

数年後、この映像が伝説の初期映像として語られていても不思議ではない。

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