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ジャズの未来はどこへ向かうのか──DOMi & JD BECKのライブパフォーマンスから見える現在地

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2026年7月31日、DOMi & JD BECKは待望のセカンドアルバム『WHO ASKED?』をリリースする。

2022年のデビューアルバム『NOT TiGHT』から約4年。SNS発の超絶技巧デュオとして世界中の音楽ファンを驚かせてきた彼らは、今や現代ジャズシーンを代表する存在へと成長した。最新作では従来のゲスト主体の構成から離れ、オーケストラや自身のボーカルを取り入れた新たな方向性を打ち出しているという。

果たしてDOMi & JD BECKは次の作品でどこへ向かうのだろうか。

その答えを探る上で、まずは彼らがどのようなアーティストなのかを振り返る必要がある。

インターネットが生んだ新世代のジャズヒーロー

DOMi & JD BECKは、フランス出身のキーボーディストDOMi Lounaと、アメリカ・テキサス出身のドラマーJD Beckによるデュオである。

二人が出会ったのは2018年。以降、驚異的な演奏技術を収めた動画がSNSやYouTubeを中心に拡散され、瞬く間に世界中のミュージシャンから注目を集めるようになった。

彼らの支持者にはそうそうたる名前が並ぶ。

Thundercat、Anderson .Paak、Herbie Hancock、Mac DeMarco、Ariana Grande、Bruno Mars。

まだ正式なアルバムすら発表していない段階から、彼らは既に世界トップクラスのミュージシャンたちの現場に招かれていた。

2022年にはAnderson .PaakのレーベルAPESHITとBlue Noteからデビューアルバム『NOT TiGHT』を発表。

同作はグラミー賞「Best New Artist」と「Best Contemporary Instrumental Album」にノミネートされる快挙を達成した。

だが彼らが評価されている理由は単純なテクニックではない。

重要なのは、その異様なまでの現代性だ。

70年代ジャズフュージョン、LAビートシーン、ヒップホップ、ゲームミュージック、エレクトロニカ。

それらをミーム文化やSNS世代の感覚で再編集した音楽は、「ハイパージャズ」と呼ばれることさえある。

演奏というより対話

今回のライブ映像を観ていて最も印象的なのは、二人の関係性である。

一般的なジャズデュオの演奏ではない。

DOMiがフレーズを投げれば、JDがそれを受け取る。

JDがリズムを崩せば、DOMiがさらに複雑なコードを重ねる。

そこには「伴奏」と「ソロ」という区別が存在しない。

互いが同時に主役であり、同時に相手を支えている。

演奏を見ていると、まるで二人だけの言語で会話しているような錯覚に陥る。

それは譜面の上で成立するアンサンブルではなく、長い時間をかけて築かれた信頼関係そのものだ。

JD Beckという現象

ライブ映像の中心にいるのは間違いなくJD Beckだ。

彼のドラミングはもはや人間離れしている。

細かく刻まれるゴーストノート。

ヒップホップ由来のビート感覚。

ジャングルやドラムンベースを思わせる細分化されたリズム。

しかし不思議なことに、どれだけ複雑な演奏をしていてもグルーヴは失われない。

多くの超絶技巧ドラマーが陥りがちな「上手いけれど踊れない演奏」とは決定的に異なる。

Redditなどでも、彼の演奏は「人間離れしているほど正確なのに、機械的ではない」と評価されている。

JD Beckはドラムを叩いているのではない。

リズムそのものを書き換えている。

そんな印象さえ受ける。

DOMiが作る余白

一方で、このデュオを成立させているのはDOMiの存在だ。

JD Beckの演奏ばかりに注目が集まりがちだが、DOMiは単なる超絶技巧キーボーディストではない。

彼女は空間を作る。

フュージョン、ジャズ、ネオソウル、エレクトロニカを横断しながら、楽曲に独特の浮遊感を与えている。

特にライブでは、その役割が顕著だ。

JDが極端な情報量を詰め込むほど、DOMiは余白を残す。

だからこそ演奏が崩壊しない。

二人は互いの過剰さを補完しながら成立している。

『WHO ASKED?』へ向けて

興味深いのは、最新作『WHO ASKED?』がこれまでとは大きく異なる方向性を示していることだ。

『NOT TiGHT』では豪華ゲストが話題となった。

しかし新作ではオーケストラや自身の歌唱を中心に据えた作品になると言われている。

これは極めて重要な変化だ。

なぜならDOMi & JD BECKはこれまで「凄い演奏をする人たち」として語られることが多かったからだ。

だが本当に求められているのは、その先にある音楽だろう。

超絶技巧を超えた先で、彼らがどんな物語を描くのか。

今回のライブ映像を観る限り、その準備は既に整っているように思える。

ジャズの未来というより、音楽の未来

DOMi & JD BECKを見ていると、ジャズという言葉そのものが古く感じられる。

彼らはジャズを演奏しているわけではない。

ヒップホップも、フュージョンも、電子音楽も、インターネットカルチャーも、すべてを同列に扱っている。

だからこそ若い世代にも支持される。

実際、彼らは単なるジャズファンだけでなく、インディーロック、ヒップホップ、エレクトロニカのリスナーまでも巻き込んでいる。

今回のライブ映像から感じられるのは、完成されたミュージシャンの姿ではない。

むしろ、まだ進化の途中にいる二人の姿だ。

そしてだからこそ面白い。

7月の『WHO ASKED?』は、DOMi & JD BECKが単なる超絶技巧デュオから、真のアーティストへと変化する瞬間になるかもしれない。

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