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Ålborgとは何者なのか —— 『Like Her』が示した、インディーロックの新しい優しさ

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ここ数年の国内インディーシーンには、派手な衝動や強烈な個性で注目を集めるバンドが数多く現れている。

その一方で、決して大声を上げることなく、じわじわとリスナーを増やしているバンドもいる。

Ålborg(オールボー)はまさに後者だ。

2022年に横浜で結成された5人組インディーロックバンド。トロンボーン、フルート、スティールギターといった編成を取り入れた独特のサウンドで早くから注目を集め、デビュー曲「Girl」でリスナーの耳を掴んだ。2023年にはFUJI ROCK FESTIVAL’23の新人登竜門「ROOKIE A GO-GO」への出演を果たし、その名を全国区へと広げていく。

さらに2024年には1stアルバム『The Way I See You』を発表。作品は高い評価を獲得し、その後は海外公演も経験するなど、着実にキャリアを積み上げてきた。

彼らの歩みは決して急激ではない。

しかしだからこそ信頼できる。

流行の波に乗るのではなく、自分たちだけの音楽を少しずつ育てながら前へ進んできたバンドなのである。

Ålborgの魅力は「余白」にある

Ålborgを初めて聴いた時、多くの人が思い浮かべるのは、ゆうらん船やmei ehara、あるいは片想いのような日本語インディーポップの系譜かもしれない。

しかし彼らは単なるシティポップ回帰でもなければ、フォークロックの焼き直しでもない。

楽曲にはUSインディーの穏やかな質感がありながら、日本語の持つ繊細な情緒が自然に溶け込んでいる。

そして何より特徴的なのは「余白」だ。

音を詰め込まない。

感情を説明しすぎない。

だからこそ聴き手は自分自身の記憶や感情をそこへ投影できる。

Ålborgの音楽は、答えを提示する音楽ではなく、風景を提示する音楽なのである。

『Like Her』が描く曖昧な感情

2026年にリリースされたニューシングル『Like Her』は、そんなÅlborgの魅力がさらに洗練された作品だ。

タイトルだけを見ると恋愛を歌った楽曲のように思える。

しかし実際に耳を傾けると、この曲が描いているのはもっと曖昧な感情であることに気づく。

誰かへの憧れ。

誰かになれない自分。

近づきたい気持ち。

距離を感じる寂しさ。

『Like Her』にはそうした感情が明確な輪郭を持たないまま漂っている。

その曖昧さこそが、この曲の美しさだ。

近年のJ-POPでは感情をストレートに伝える楽曲が主流になりつつある。

しかしÅlborgはあえて説明を避ける。

聴き手自身が感情の正体を探しながら歩いていくような構造になっている。

音像はさらに成熟した

サウンド面で特筆すべきなのは空間の使い方だ。

初期の「Girl」や「Memory」にあった瑞々しいインディーロックの質感を残しながらも、『Like Her』ではアンサンブルの整理が格段に進んでいる。

楽器同士が主張し合うのではなく、ひとつの風景を描くために配置されている。

その感覚は近年のUSインディーで言えばBig ThiefやAlvvays、国内で言えばゆうらん船や浮に近い。

だがÅlborgには彼らだけの柔らかなポップネスがある。

トロンボーンやフルート、スティールギターといった編成が単なる装飾ではなく、バンドのアイデンティティとして機能している点も大きい。

Ålborgはどこへ向かうのか

『Like Her』を聴いて感じるのは、Ålborgが「成長している」のではなく、「深くなっている」ということだ。

派手な変化ではない。

劇的な方向転換でもない。

しかし確実に音楽の密度が増している。

ROOKIE A GO-GO出演から始まり、カクバリズムからのリリース、1stアルバム、海外公演と、彼らは一歩ずつキャリアを積み上げてきた。

その歩み方は、かつてのゆうらん船や羊文学にも通じるものがある。

大きなバズで一気に駆け上がるのではなく、作品の力で信頼を獲得していくタイプのバンドだ。

『Like Her』はそんなÅlborgの現在地を示す一曲であり、同時に未来への予告編でもある。

もし彼らがこのまま独自の美学を失わずに進んでいくなら、日本のインディーロックシーンを代表する存在になる日も決して遠くないだろう。

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