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Gateballers『Gateballers』レビュー|6年という時間が辿り着いた、”バンドそのもの”を鳴らすアルバム

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2020年代の日本のインディーロックシーンは、ジャンルの境界を越える作品で溢れている。

その中でGateballersは、流行を追うことなく、自分たちだけの時間を積み重ねてきたバンドだ。

2013年に結成されたGateballersは、シューゲイザーやドリームポップ、インディーロックを軸にしながらも、サイケデリックやフォーク、エクスペリメンタルな感覚を自然に溶け込ませた独自のサウンドで支持を集めてきた。

『Lemon songs』『[The All] = [Poem]』『Infinity Mirror』と作品を重ねるごとに音楽性を拡張し、約6年という長い制作期間を経て届けられた4作目が、セルフタイトルを冠した『Gateballers』である。アルバムには先行配信曲「Get back」「Why 愛 I」「lucky 3」「reflection」に加え、「Tシャツvs雨」では岸田繁がオーケストラアレンジで参加している。

セルフタイトルが意味するもの

バンド名をそのままタイトルに掲げる作品には、特別な意味がある。

それは「原点回帰」であることもあれば、「現在地の宣言」であることもある。

Gateballersの『Gateballers』は、後者だろう。

本作を聴いてまず感じるのは、これまでの作品以上に演奏の質感が前面へ出ていることだ。

シューゲイザーの浮遊感は残しながらも、音像は以前よりも輪郭を持ち、メロディはよりストレートに響く。

決してキャッチーになったわけではない。

しかし、一つひとつの音が確かな意思を持って鳴っている。

6年という時間は、バンドを劇的に変えたのではない。

余計なものを削ぎ落とし、「Gateballersらしさ」だけを残したのである。

「reflection」から始まった現在地

先行配信された「reflection」は、このアルバムの方向性を象徴する楽曲だった。

淡く滲むギターサウンド。

心地よく揺れるリズム。

その上を漂うように歌われるメロディ。

Gateballersらしい浮遊感を持ちながらも、どこか穏やかな確信が感じられる。

以前の作品には夢と現実の境界を曖昧にするような幻想性があった。

一方で『Gateballers』では、その幻想を現実の風景へと少しずつ引き寄せている印象を受ける。

だからアルバムは決して遠い世界の音楽ではない。

日常の中にそっと溶け込んでいく。

「Tシャツvs雨」が描く、美しさの更新

本作の中でも印象的なのが「Tシャツvs雨」だ。

この楽曲では、岸田繁による弦楽四重奏を軸としたオーケストラアレンジが加わっている。ストリングスは楽曲を華やかに飾るためではなく、Gateballersの持つ繊細なロックサウンドをさらに立体的に浮かび上がらせる役割を果たしている。

ロックバンドとストリングスという組み合わせ自体は珍しくない。

しかし、この曲ではオーケストラが前へ出ることはない。

あくまでバンドサウンドの呼吸を支え、楽曲の奥行きを広げている。

そのバランス感覚は、このアルバム全体にも共通している。

MVが映し出す「余白」

GateballersのMVは、派手なストーリーや過剰な演出に頼る作品ではない。

演奏や風景、光の移ろいを丁寧に切り取りながら、音楽が持つ空気そのものを映像へ落とし込んでいる。

だからMVを観終えたあとに残るのは、「面白い映像だった」という印象ではない。

「あの空気をもう一度味わいたい」という感覚だ。

映像は音楽を説明しない。

むしろ、音楽の余白をさらに広げるために存在している。

この距離感こそ、Gateballersというバンドらしい美学なのだろう。

Gateballersが辿り着いた現在

『Gateballers』は、大きな変化を誇示するアルバムではない。

派手な実験も、劇的な進化もない。

しかし、その静かな佇まいの中には、6年間積み重ねてきた時間が確かに息づいている。

流行に合わせて自分たちを変えるのではなく、自分たちの音楽を信じ続けた結果として生まれた一枚。

だからセルフタイトルなのだ。

これは「新しいGateballers」ではない。

「今のGateballers」を、そのまま記録した作品なのである。

聴けば聴くほど、演奏の細部やアンサンブルの美しさが浮かび上がる。

そんなアルバムは、決して多くない。

『Gateballers』は、派手さではなく”積み重ね”によって完成された、2026年の日本のインディーロックを代表する作品の一つと言えるだろう。

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